「時を超え、湯に宿る力——浅間温泉 仙気の湯」
松本の奥座敷・浅間温泉に静かに佇む「仙気の湯」は、名湯の歴史と土地のぬくもりが溶け合うような、心安らぐ温泉施設です。古くから湯治場として親しまれてきた浅間温泉の中でも、ひときわ地元に根づいた共同浴場であり、町の空気と人情がそのまま湯の香りに込められています。建物は風情ある木造で、玄関をくぐると懐かしい銭湯のような雰囲気に包まれ、どこかほっとするひとときが始まります。
湯船に注がれるのは、アルカリ性単純温泉。無色透明でやわらかく、刺激の少ない泉質は肌に優しく、赤ちゃんからご年配の方まで安心して入浴できます。泉温はやや熱めで、体の芯からしっかりと温めてくれ、冷え性や肩こり、神経痛などに効果があるとされています。
また、アルカリ性のお湯は肌の古い角質をやさしく洗い流すため、“美肌の湯”としても親しまれています。禁忌事項としては、急性疾患や高度の心疾患、出血傾向のある方などには注意が必要です。利用前に体調を確認して、無理のない入浴を心がけましょう。
小さな浴室に設えられた湯船は、まさに地元の人々の暮らしとともにある空間。観光地の賑わいとは異なり、静けさの中で湯の音に耳を傾けながら、心身をゆるめる贅沢な時間が流れます。湯上がりには町を散策して、昔ながらの温泉街の風情を楽しむのもおすすめです。仙気の湯は地域住民が管理・運営しており、訪れる者もその一部となって温泉文化に触れることができます。
アクセスは、JR松本駅からアルピコ交通バス浅間線で約20分。「浅間温泉」バス停で下車し、徒歩5分ほどで到着します。駐車場も用意されており、車での訪問も可能です。日常の延長線上で、静かに心と体を整える。そんな“湯のある暮らし”の原点が、仙気の湯には息づいています。