「湯けむりの奥に、千年の癒しが息づく――秘湯・渋御殿湯」
深い山々に包まれた静寂の地、八ヶ岳の懐に佇む「渋御殿湯」は、まさに“天下の霊湯”と呼ぶにふさわしい名湯。古くは武田信玄の隠し湯とも伝えられ、修験道や文人にも親しまれてきた歴史ある湯処です。自然と共鳴するかのように湧き出すこの湯は、訪れる人々の心と体をじんわりと癒してくれます。
御殿湯の泉質は、源泉かけ流しの含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉と単純硫黄冷鉱泉の2種。無色透明なものから淡い白濁の湯まで、泉源によって異なる個性を持ち、それぞれが独特の香りと効能をたたえています。硫黄成分は新陳代謝を促し、慢性皮膚病や糖尿病に効果が期待されるほか、炭酸水素塩泉は肌をすべすべに整える“美肌の湯”としても知られています。一方で、高齢者の長湯や心疾患、妊娠中の方などは注意が必要であり、入浴前の体調確認が勧められます。
浴場は内湯と露天があり、どちらも風格ある木造の設えが印象的。窓の外に広がる原生林の静けさと相まって、日常のざわめきをすっかり忘れさせてくれます。標高1,800メートルの涼やかな空気の中で湯に浸かる贅沢は、ここでしか得られない深い安らぎです。
アクセスは、中央自動車道・諏訪ICから車で約60分。冬季は積雪があるため、スタッドレスタイヤやチェーンの携行が推奨されます。公共交通機関利用の場合は、茅野駅から路線バスで渋の湯入口まで行き、そこから宿の送迎を利用するのが便利です。
山の静けさに包まれ、時を超えて湧き続ける霊湯。心身の再生を求める旅に、「渋御殿湯」はきっと、深い満足を与えてくれるはずです。
泉質 | 単純酸性硫黄泉 |
効能 | 慢性皮膚病・慢性婦人病・きりきず・高血圧症・動脈硬化症・神経痛・筋肉痛ほか |