「熊さえ癒やした伝説の湯で、心身をほどく」
― 野沢温泉 共同浴場 熊の手洗場 ―
野沢温泉の外湯のひとつ「熊の手洗場（くまのてあらいば）」は、その名の通り、かつて傷を負った熊がこの湯で手を癒したという言い伝えが残る、歴史と自然の息吹を感じさせる名湯です。小ぶりで素朴な湯屋は、まるで野沢の暮らしの一部に溶け込んだような佇まい。湯けむりの向こうに、昔ながらの湯治文化が静かに息づいています。
泉質はナトリウム・カルシウム‐硫酸塩・塩化物泉で、源泉温度は高く、湯はしっかりとした温まり感があります。硫酸塩泉は血行を促し、筋肉痛や関節の痛み、慢性皮膚病に効果があるとされ、特にリハビリや外傷の回復期には最適といわれています。さらに、塩化物泉の特性により保温効果が高く、湯上がり後もぽかぽかとしたぬくもりが長く続きます。
この温泉の名の由来である「熊の手洗い伝説」は、自然と人が共に暮らしてきた野沢温泉らしさを象徴しています。動物すらその効果に癒されたというこの湯は、まさに“いのちに寄り添う湯”。観光地化されすぎていない雰囲気も魅力で、訪れる人々にとって静かで落ち着いた時間が流れます。ただし、湯温が高めであるため、心臓疾患や高血圧の方は長湯を避け、体調に配慮した入浴を心がけることが大切です。
アクセスは、JR飯山駅から野沢温泉ライナーで終点まで約25分。バス停からは徒歩10分ほどで、温泉街の一角にある熊の手洗場へとたどり着けます。外湯めぐりの途中でふらりと立ち寄るのにも最適で、ほっと一息つける癒しのひとときを与えてくれるはずです。
昔話のような温もりをたたえたこの湯で、自然の恵みに包まれながら、心と身体をゆっくりとほどいてみてはいかがでしょうか。
| 泉質 | 単純硫黄泉 |
| 効能 | 神経痛、リウマチ、胃腸機能 の低下、糖尿病、皮膚炎の他火傷・切傷、おでき跡に効果的 |